パンデミックにより、これまでとは違うワークスタイルに移行
新型コロナウイルスの感染拡大によって、全世界が職場あり方について再考を迫られています。これまで、リモートワークをの経験がなかった多くの従業員が、突然の在宅勤務を強いられています。パンデミックが起こる前も、リモートワーク用のデジタルツールは 多数存在していたものの、リアルタイムでの使用までには至っていませんでした。
今回のパンデミックにより、在宅勤務だと怠けてしまうとか 一部の仕事はリモートでは無理だといった、これまでの在宅勤務に対する誤ったイメージが改められことでしょう。
在宅勤務はかつてのように 一部の人だけの特権ではなく 多くの人にとって必須の ワークスタイルとなりました。オンラインでできる業務は、オンラインで完結させます。在宅勤務#WFHが 社会に根付いた今、いずれ従来のワークスタイルに戻るだろうと考えるのは、現実から離れた発想ではないでしょうか。
リモートピアは、私たちが ネットワークとプラットフォームを利用して人とつながり合い、創造しながら、業務を遂行するための場所として、今後も重要な役割を担うことになることでしょう。リモートピアとは、1人で自宅にいながら全世界とのつながりを 確保できる場所のことです。
デジタルなツールと手法によって 生活、買い物、遊びの スタイルが変化し始め、世界は着実にリモートピアへと 向かっています。
まだインターネットが普及する前の 1990年代初頭に フランス人経済学者のジャック・アタリ氏は、富裕なエリート層が遊牧民のように 世界中を動き回って仕事をするような 未来が到来するだろうと予見しました。
幸いなことに、この予言が的中しさらに 富裕層だけにとどまりませんでした。リモートピアの典型は、異国情緒のある場所で 数週間かけてプロジェクトを「やっつけ」、近隣のインスタ映えする大自然の中で 羽を伸ばす若いITワーカーです。まるでiPadとヘリポートを駆使する21世紀の狩猟採集民族です。
しかし、リモートピアはバリ島やプーケットのビーチだけに存在するわけではありません。生活のペースがゆったりした田舎町で収入を伸ばす人々や、変化の目まぐるしい大都市で 通勤のストレスを避けたい 人々にも浸透し始めています。
世界中の人々が、ライフスタイルのいかんに関わらず, それぞれのニーズに合わせて、仕事にプライベートにリモートワークを 使いこなす術を見出しています。
企業がより活動的で俊敏に動き回るグローバルな人材を活用するには、この動きに乗り遅れるわけにはいきません。ますます 多くの人材がリモートワークの導入へと 向かっていくはずです。
リモートピアはあらゆる場所であると同時にどこにもない場所を指しています。言葉の語源は、ラテン語の語幹Remotus(除去された、または遠く離れた)とギリシャ語のTopos(場所)から来ています。理想の世界であるユートピアや 暗黒の世界であるディストピアと混同すべきではありません。リモートピアには 長所も課題も 存在します。
いわゆる「遠隔地」は相対的なものです。したがって、企業も個人も、絶えずリモートピアのコンセプトをアップデートする必要があります。リモートピアとは、静的な場所とは正反対の 動的な概念を指しています。体調の良い日も悪い日も、晴れの日にも雨の日にも リモートピアの住人は常にワークツールを携え、ホームオフィスや寝室で、ソファーや天気のよい日は屋外の 芝生の椅子に座って仕事をします。
新型コロナウイルスの影響により、リモートピアのイメージは一層鮮明になってきました。子供や病人の世話をしている人も働き続けることができます。定年退職した後も、自宅からの環境で快適に 仕事を継続することが 可能になります。
未来の住宅には、ルータが設置され、防音対策が施され、ビデオ会議用の照明も付いている、ホームオフィスが 標準装備されていたり、組み込まれていても不思議ではありません。さらに、大事な電話の最中に子供が入ってこないようにする、高度なチャイルドロックがそこには備え付けられているかもしれません。